このガイドラインの目的
このガイドラインは、「Go Global Hub 2026」(以下、本イベントという)を全ての人にとって安心して参加できる場にする上で、ハラスメント防止に必要とされる行動の指針を明示するため作成されました。
「世界人権宣言」や「ビジネスと人権に関する指導原則」でも述べられているように、すべての人々の人権はあらゆる場面で尊重される必要があります。本イベントにかかわる全ての人が安心して参加できるようにするためには、全ての関係者がハラスメントについて理解し、ハラスメントの防止と発生した際の対応に努める必要があると考えています。
このガイドラインでは、ハラスメントとは何かを理解した上で、ハラスメントの防止のためにできる行動は何かを知ることができます。どんなに気をつけていたとしても、ハラスメントが発生してしまうこともあります。このガイドラインでは、万が一ハラスメントが発生した場合に、その被害を拡大しないためにできる行動についても指針を示しています。
本イベントでは、現状のハラスメント対策に満足せず、常に改善を続ける姿勢を持ちます。イベント終了後には参加者や関係者からのフィードバックを踏まえ、ガイドラインや教育内容を定期的に見直します。なお、本イベント内でハラスメントが発生した場合の報告・相談の方法や、報告への具体的な対応方法は別途定めるものとします。
用語の定義
| 相談者 | 発生したハラスメント行為について本イベントの運営者に相談した人のことを指します |
|---|---|
| ハラスメントを行った人 | 相談の中でハラスメントを行ったとされる人のことを指します |
| ハラスメントを受けた人 | 相談の中でハラスメントを受けたとされる人のことを指します |
ガイドラインの適用範囲
不適切な行為を防ぎ、是正することは、本イベントに携わる全員の責任だと考えています。そのため、このガイドラインは、すべてのイベント参加者が対象です。また、本イベントが今後企画・実施するすべてのプロジェクトや活動にも継続的に適用されるものとします。
ハラスメントとはなにか
ハラスメントとは、ジェンダー、性的指向、年齢、障害、外見、人種、宗教など文化的背景に基づく差別や人格を否定するなど、相手の尊厳を傷つける行為のことを指します。ハラスメントは口頭での発言など対面の状況だけではなく、テキストでの発言などオンライン環境でも発生します。また、これらに限らない多様な形態が考えられます。具体的に本イベントで許容されない行為には、下記のようなものが挙げられます。
セクシャルハラスメント
セクシャルハラスメントとは、性的な言動で他者を不快にさせる行為のことです。セクシャルハラスメントには大きく分けて環境型と対価型の2つの型に分類されます。
環境型とは、性的な発言や行為が職場やイベントの雰囲気を悪化させ、周囲の人が能力を発揮しづらくなるセクシャルハラスメントのことを指します。対価型は性的な関係や交際を求めることが、仕事上の利益・不利益と結びついているセクシャルハラスメントのことを指します。
具体的には、下記のような行為が該当します。
| 分類 | 行為 | 例 |
|---|---|---|
| 環境型 | 性的及び身体上の事柄に関する不必要な質問・発言 | 「子どもを産む予定があるなら、経営には向いていないんじゃない?」と指摘された 「彼氏/彼女いるの?」とプライベートを詮索された |
| 性的な冗談やからかい、言動 | 公式の懇親会で、下ネタで盛り上がっていて不快に感じた | |
| 性的な内容のうわさを流布する行為 | 「あの人、パトロンや愛人で出資受けてるらしいよ」と根拠のない噂を流された | |
| 不必要な身体への接触 | 集合写真を撮るときに、無断で腰に手を回されて嫌な気持ちになった | |
| 性的な言動により、周囲の能力の発揮を阻害する行為 | イベントの登壇者に対して、聴衆の一部が「あの人はスタイルいいよね」と容姿を比較する発言で盛り上がっていた | |
| 対価型 | 交際・性的関係の強要 | 「この契約をまとめるには、まずは親密な関係にならないと」と交際を強要された 何度も断っているのにSNSで執拗に食事に誘ってくる |
| 性的な言動への抗議又は拒否等を行った他者に対して不利益を与える行為 | 性的な冗談を不快に思い拒否したら、業界のイベントに呼ばれなくなった |
パワーハラスメント
パワーハラスメントとは、立場や権力を利用して相手を傷つけることを指します。具体的には、下記のような行為が該当します。
| 分類 | 行為 | 例 |
|---|---|---|
| 身体的な攻撃 | 殴る、蹴る、ものを投げつけるといった行為 | ネットワーキング中に口論となり、相手を小突いたり足を蹴ったりする 業績の悪化のバツとして殴られる |
| 精神的な攻撃 | 他者を見下すような言葉をかける行為 | 複数人の前で若手起業家に「こんなアイデア、全然ビジネスにならないよ。経営者辞めたら?」嘲笑される |
| 自らの優位性を強調して、脅迫する行為 | 「アドバイスに従わないなら、もう業界の紹介はしない」と自分の立場を利用して必要以上にプレッシャーをかけられた | |
| 必要以上の叱責 | ピッチの後、「こんなレベルの資料で出てくるなんて、バカげてる」と他の参加者の前で怒鳴りつけられた | |
| 人間関係からの切り離し | 仲間はずれや集団での無視 | 懇親会で特定の人を無視する |
| 不当に他者を排除する行為 | 仕事や業務に影響が出るほど、特定の人を無視したり情報を回さないようにする | |
| 個の侵害 | 同意のない撮影や録音 | 交流会で本人の許可なく写真を撮り、SNSにアップする |
| ストーキング | 毎回の登壇イベントに必ず現れ、異常に接触を図ってくる人がいる | |
| 監視する行為 | 「昨日の懇親会には行ってたよね?なんでこっちの誘いを断ったの?」とプライベートな行動を細かくチェックする | |
| 性的指向や性自認、病歴などの個人情報の暴露 | 「あの人、過去にメンタルの問題があったらしいよ」と病歴を勝手に広める | |
| 過大・過小な要求 | 明らかに達成困難な条件を押し付ける行為 | 「飲めないと、出資とれないよ」と飲酒を強要する |
| 他者のスキルを過小評価し、軽視する発言 | 「女性創業者はリスクが高いから、大きな資金調達はしないほうがいいよ」と属性を理由に過小評価する |
セクシャルハラスメントやパワーハラスメント以外にも、相手の尊厳を傷つける行為はハラスメントになります。これは意図的なものだけでなく、無意識の言動によっても発生する可能性があります。
なお、ここで示した例は、あくまで一般的なケースとして挙げたものであり、関係性や文化的背景、文脈によって受け取られ方が変わる場合があります。私たちはそれぞれ異なる価値観や境界線(バウンダリー)を持っています。「自分は大丈夫だから、相手も平気だろう」と考えるのではなく、相手の立場を尊重し、丁寧なコミュニケーションを心がけることを意識しましょう。
望ましい行動
ハラスメントの予防のために
- ハラスメントについて理解しましょう ハラスメントに関して、正しい知識を身につけましょう。ハラスメントは、してはいけないことへの「無理解」や、自分がハラスメント行為を行っていることに気が付かない「無自覚」によって発生します。また、理解が不足している状況では、過度にハラスメントを怖れ、コミュニケーションができなくなる過敏な状況も発生します。誰もがハラスメントの被害者・加害者・目撃者になる可能性があることを自覚し、正しい知識の理解と知識のアップデートに務める必要があります。
- ハラスメントが発生しやすい文化であることを理解しましょう ハラスメントは個人だけの問題ではありません。それが発生する背景には文化的・構造的な要因があります。
- 本イベントの関わる領域では、資金や知識の供給者(投資家、寄付者、メンターなど)と、その受益者(起業家、メンティーなど)の間に、資本(経済資本に限らない)へのアクセスという点で明確な非対称性があります。この非対称性が原因で、被害者が声を上げにくい状況が生まれる可能性があります。
- 本イベントに関わる領域では、起業家、投資家、行政、大企業、金融機関など多様な関係者が関与しています。それぞれの役割が複雑に絡み合うことで、権力関係がより複雑化する可能性があります。
- お互いの人格を尊重しあいましょう 他者を一個人として大切にし、発言や行動が相手の尊厳を侵害していないかを常に意識しましょう。相手のバックグラウンド(文化、価値観、立場など)が異なることを理解し、多様性を尊重する姿勢を持ちましょう。例えば、相手の意見を否定せず、傾聴したり、相手の立場や感情を想像しながら発言することが挙げられます。
- 相手が嫌がることは直ちにやめましょう 「相手が嫌がるかもしれない」という視点を持ち、行動や発言を見直しましょう。自分では問題ないと思っても、相手にとっては不快である場合があります。その際は、相手の感情を尊重し、速やかに行動を修正することが重要です。
ハラスメントが発生した場合に被害を拡大しないために
ハラスメントを受けていると感じた場合
- 自分が悪いのではないか、と責める必要はありません。ハラスメントの発生はあなただけの問題ではありません。
- 被害を受けた人はもし可能であれば、相手に対して「ハラスメントをやめてほしい」という意思を表明しましょう。それが難しくても、あなたが責められることはありません。
- 相手に不快であることを伝えられない場合は、一人で抱え込まずに第三者の助けを呼んだり相談したりしてください。
- 気持ちが落ち着いてからでも構いませんので、可能であれば被害を受けた事象について本イベント運営者に共有してください。プライバシーを保護した上で慎重に取り扱い再発防止策を検討いたします。
- ハラスメントを受けたと感じた後は、無理をせず、ご自身のペースで状況に向き合うことが大切です。一人で抱え込まず、信頼できる周囲の方や、臨床心理士など専門家サポートを受けることも検討しましょう。
ハラスメントを目撃した場合
- 自分自身の心身を守りながら、可能であれば状況に応じて介入しましょう。性被害が発生した時に傍観するのではなく積極的に介入する人のことをアクティブバイスタンダーといいます。介入には主に5つの方法(5Dと呼ばれる)があり、複数の方法を組み合わせることもできます。
- Distract(気をそらす)状況を変えるために注意をそらす行動です。加害者や被害者に対して直接関わるのではなく、間接的にハラスメントの流れを断ち切る方法を取ります。
- Delegate(助けを求める) 自分で率先して行動を起こすことが難しいときは信頼できる上司や人事に相談します。
- Document(証拠を残す) 状況や、⽇時、場所が特定できるよう撮影、録音、メモで証拠を残す。
- Delay(後からの対応) 被害者に「大丈夫ですか」「何かできることはありますか」と声をかける。
- Direct(直接介入する) 「ハラスメントだと思います」などと直接介入する。
- 上記のような対応を検討・実行し、気持ちが落ち着いてからでも構いませんので、可能であれば被害を受けた事象について本イベント運営者に共有してください。再発防止策を検討いたします。
ハラスメントを相談された場合
- ハラスメントを相談された場合は、二次被害を発生させないよう留意しながら相手の言葉に耳を傾けましょう。
- 二次被害とは、ハラスメントの被害を受けた人が、相談や申告をした後に周囲から受ける二次的な被害のことです。二次的な被害を引き起こさないための声掛けのためには、下記の事項を意識することが望ましいといわれています。
- Thank them for telling you(話してくれたことに感謝する) 感謝を伝えることは、会話の最初に相手が安心して話せるようにする助けになります
- Ask how you can help(どのように助けられるかを尋ねる) アドバイスではなく、どのような助けを必要としているか聞くことに徹します
- Listen without judgment(判断せずに聞く) 非難したり、疑ったりせずに、「1人じゃないよ」「大変だったね」と共感を持って話を聞きます
- Keep supporting(サポートを続ける) 相手の回復プロセスは異なるため、相手に合ったやり方を尊重し寄り添い続けます
- 二次被害とは、ハラスメントの被害を受けた人が、相談や申告をした後に周囲から受ける二次的な被害のことです。二次的な被害を引き起こさないための声掛けのためには、下記の事項を意識することが望ましいといわれています。
- 上記のような対応を検討・実行し、気持ちが落ち着いてからでも構いませんので、可能であれば相談を受けた事象について、相談者から許可を得られた範囲で本イベント運営者に共有することをご検討ください。再発防止策を検討いたします。
「ハラスメントを行った」と指摘された場合
- ハラスメントを行ったと伝えられた時は、まずその事実を冷静に受け止めてください。感情的になるのではなく、状況を丁寧に振り返ることが重要です。
- 本イベント運営者にハラスメントであると相談された行為が事実である場合は、その要因を外的なもの(例: 環境や他者の行動)にあると考えるのではなく、自分の行動や態度の中に要因があったことを認めましょう。言動が相手にどのような影響を与えたかを深く考えるスタンスが必要です。
- その後の相手との関係性は、ハラスメントを受けた人の希望を優先しましょう。謝罪のためであっても、慎重な行動が必要です。ハラスメントを受けた人が謝罪を受け止められるタイミングと、ハラスメントを行った人が謝罪したいタイミングは異なります。
- ハラスメント行為の相談者、ハラスメントを受けた人やハラスメント行為へ介入した人への報復は許されません
- ハラスメント行為について対話する際は、下記のことを理解してください
- ハラスメントの告発はあなたへの攻撃や人格を否定するものではありません
- 相手の言い分を否定することはやめましょう
- 自分の認識と異なる場合でも、相手の話を受け止めた上で、「自分の視点からどう見えたか」を伝える姿勢を心がけましょう。
- ハラスメントを行ってしまった理由を述べることは妨げませんが、それはハラスメントを正当化するものではないことを理解してください
- ハラスメントをしてしまった時、様々な葛藤や不安を感じる場合があります。自分が起こしてしまったことを安心して振り返る場所も必要です。再発防止のためにも、臨床心理士のサポートなど適切な支援を受けることも検討してください。
2025年4月1日策定
一般社団法人Startup Lady協会
非営利株式会社ピロウ & 株式会社SISTERS. (2025). スタートアップ関連の催しにおけるハラスメント防止のためのガイドライン. https://viridian-expert-c91.notion.site/harassment-guideline?pvs=4
Copy Right 非営利株式会社ピロウ, 株式会社SISTERS.